一口メモ
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一口メモ・ユニットケア談義 シリーズ86
2013-07-02
一口メモ・全室個室の小規模生活単位型(新型、ユニット型)特養誕生の背景
2013年7月1日
社会福祉の生活施設は2人雑居、4人雑居の居室が原則でした。個室に助成金がつくようになったのは1990年前後だったと記憶しています。軽費老人ホームのA型も2人雑居だったのです。養護老人ホームは個室化が進められていますが、まだ2人雑居、4人雑居の養護老人ホームもあります。軽費老人ホームの一種であるケアハウスが個室として誕生したのは1989年ですから、まだ20数年ほど前のことです。
特養の個室化は介護保険導入以前から問題にされていましたが、実現しませんでした。全室個室の特養は東京老人ホームが、1990年に開設したのが最初です。西日本では兵庫県朝来市生野町の「いくの喜楽苑」が1991年に全室個室化の特養として誕生しました。
滋賀県では当時は中主町に介護保険が導入された平成12年10月に「あやめの里」が全室個室の特養として初めて誕生しました。制度化は2002年ですから、東京老人ホームが最初に全室個室の特養として出現し、それから12年後です。
私は、全室個室型のいくの喜楽苑で淡路阪神大震災のあった1995年の1年間と1997年から2000年3月までユニットケアの原点を学びました。いくの喜楽苑開設後、富山県の「おらハウス」岐阜県の「ケアポートみまき」京都府の丹後半島の「虹が丘」等、散発的に全室個室の特養が少しずつ増えていきました。
全て、「プライバシーのある生活を社会福祉の対象者にも」という老人福祉関係者の闘いと先駆的な取り組みの成果でした。
新型特養の出現は2002年に「プライバシーのある生活」「少人数で家庭的な生活」を柱に法制化されたのです。まだ11年の歴史です。法制化された全室個室、10人生活単位、個室面積13.2㎡以上のユニット型特養が全国で開設し始めたのは2004年からです。その最初の年2004年に草津市で「ぽぷら」は誕生したのです。
しかし、プライバシー保持が出来る「全室個室のユニット型しか認可しない」という厚生労働省の方針は、わずか9年しか続きませんでした。2013年4月以降、都道府県レベルでは滋賀県を除く総ての46都道府県は4人雑居型特養の認可を認めたのです。臭いと音のプライバシーのない雑居生活の特養が再び建設され、お金持ちの要介護老人は個室の生活、低所得のお年寄りは雑居という7特養の歴史の逆流が始まり出したと思います。
