本文へ移動

一口メモ

一口メモ

RSS(別ウィンドウで開きます) 

高井流 ユニットケア談義 シリーズ22

2012-11-08
一口メモ・ユニットケア談義 シリーズ22「三大介護をユニットケアに」
「食事のあり方を考える」
私は今まで大阪の八尾市の特養を出発点に尼崎市の喜楽苑、あしや喜楽苑、いくの喜楽苑、そして福井市の朝倉苑、新型特養に新築移転したあさくら苑、そして滋賀県の3つの特養で33年間働き、63才となり今ぽぷらとなみきで働いています。内、あしや喜楽苑、いくの喜楽苑とあさくら苑以外の施設はいずれも4人部屋が基本の典型的な既存型特養でした。いずれの施設も昼食は入居者とデイ利用者が全員集まり、食事をするという旧来型の特養でした。
この6つの施設の大食堂を使用していたときの入居者の動きには一つの法則がありました。それは食事を食べ終えれば「直ぐに居室に戻る」という行動パターンです。食後ゆっくりと入居者同士が寛ぐ、職員と入居者が歓談するという光景は見る事が出来ませんでした。職員も食事の介助を終えると直ぐ入居者を居室に誘導し、食堂掃除を終えて職員が食事を摂るというのが日常的だったのです。
 
「いくの喜楽苑は全室個室型で3つの食堂を設置し、19919月に開設」
50才で滋賀の特養で働く直前までは、ショートステイを含めると定員70名の施設で、全室個室型の「いくの喜楽苑」で1995年の阪神淡路大震災を契機に通算3年間働く機会を得ましたが、このいくの喜楽苑は全室個室型で3つの食堂を擁していた特養でした。ショートステイ利用者を含めて日々、60名程の入居者が3つの食堂に分かれて食事を摂っていたのですが、大食堂で一同に会して食事を摂る他の特養とはまったく雰囲気が異なったのです。
当時、いくの喜楽苑は食事時間が1時間以上も掛かり、食事が終わってもテレビを観たり、入居者同士が歓談したりして、入居者が居室に戻ることは少なかったのです。私はこの「いくの喜楽苑」で、「大食堂で全員が集まり食事を摂るというのは空腹を満たすだけの食事であり、食事を楽しむ家庭的な食事とはいえない」ということを学び、滋賀の特養で働くことになったのです。12年も前のことでした。

高井流 ユニットケア談義 シリーズ21

2012-11-06
一口メモ・ユニットケア談義 シリーズ21「三大介護をユニットケアに」
「職員確保は欠かせない条件」
いずれにしましても職員確保は緊急の課題です。デイサービスや認知症対応型のデイサービスは日中の職員と利用者の配置比率は13となっていますが、特養の場合は24時間で最低基準配置は13という貧困なものです。ユニット型特養にいたっては夜勤者に繋ぐまでは、各ユニット1名の配置の義務付けという劣悪な配置では、個別対応入浴や入居者の希望に即した毎日入浴、夜間入浴の取り組みなど、実現するわけは無いのです。せめて、夜勤者は各ユニット単位とし、夜勤者に繋ぐまでは13の職員は確保できる職員配置を義務付ける必要があると思います。
「向き合う介護」「寄り添うケア」とは最低限、職員確保がされてこそ、言える言葉だと私は思うのです。職員配置がそれなりに確保されて、職員の身分保障も専門職と位置付けられたものがなされ、職員の「質」や「専門性」が問えるのではないでしょうか。
 
「入浴時の配慮事項」
排泄、入浴介助は同性介護が欠かせない原則と考えています。と述べますと、男性の介護は男性職員ということではなく、女性の入浴や排泄介護は女性職員という原則です。なぜなら男性は女性職員の介助を望む人が多いのです。このことは男性と女性の生理的な違いだと私は考えています。しかし、昨今、介護の現場には女性入居者が圧倒的に多いにもかかわらず、男性職員の占める割合が高くなってきました。そういう状況の下、最低限、特養や老健施設などでは男性職員の入浴や排泄の介護を拒否する女性入居者に対しては、男性職員はするべきではないと思います。そういう意味では夜勤者が複数の場合は男性同士ですることは極力避けたいものと考えるのです。
脱衣室から浴室まで手引き歩行で誘導する場合には、股間はバスタオルなどで隠すことは徹底したいものです。自立している人は隠す、隠さないは自由ですが、要介護状態になって他人の介護を受けるようになれば、介護者は隠すことに努めることが基本です。ゆっくりと楽しい入浴時間を過ごせるか、否かは介護職員次第と思うのです。

高井流 ユニットケア談義 シリーズ20

2012-11-05
一口メモ・ユニットケア談義 シリーズ20「三大介護をユニットケアに」                      
ユニットケアは個別ケアを追求し実践するケアの手法です。個別ケアは「その人らしい生活を再現、復元する」ことです。このことと同様に要介護状態になったお年寄りに、「その人に合わせた身体の介護をする」こともとても大切なことです。そこで特養や老健施設の介護職員間では「三大介護」とか「基本介護」と呼ばれている「入浴」、「食事」、「排泄」の介護について、個別ケアを実践する上で注意点や必要と思われることについて述べてみたいと思います。
 
「入浴の個別ケアは個別対応浴でこそ」
先ず「入浴」については浴室迄の誘導、脱衣、洗身、入浴見守り、着衣、誘導を介護職員が分業して行う介助ではなく、特定の職員が、全ての介助を1人で行う「個別対応入浴」の介助をすることがユニットケアでは欠かすことが出来ないと思います。何故なら、その人を良く知り、その人に合わせた対応がよりしやすくなるからです。分業で行いますと職員本位の「流れ作業的対応」に陥る傾向が強くなります。このことを実際に実践しますと、銭湯のような大浴場は必要ではなく、一般家庭で使用している個浴槽のほうが適していることに気付きます。また足腰の弱ったお年寄りには大きな浴槽は浸かると身体が不安定となって不安感が強く襲うのです。
入浴の仕方も浴槽のお湯を汚さないために大集団入浴はシャワーで流し、先ず洗身してから入浴して体を温まるという方法をとりますが、普通お年寄りの入浴は、股間を流し、浴槽に浸かり、先ず体を温まってからそして浴槽を出て洗身、そして再び入浴し、温まってから、という入浴方法が一般的ではないでしょうか。ですから要介護のお年寄りが元気だった頃の入浴方法を探り出すことが必要となります。「その人に合わせた入浴ということは、その人を知る」ということがあって可能になるのです。
 
「馴染みの職員で夜間入浴も・・・」
私はそのお年寄りと馴染みの関係を築きあげている職員が、その人の望む時間帯で入浴するということも個別ケアの実践としては大切なことだと考えています。現在のお年寄りは朝からの入浴、太陽が煌々と照らしている時間帯の入浴はしてこなかった筈です。夕食前や夕食後、就寝前の入浴が普通の生活だったのではないでしょうか。
ある特養の施設長は「自分の施設で生活しているお年寄りに尋ねたら1人も夜間入浴を望む人はいなかった。だから夜間入浴は必要としない」と話されていましたが、私は同意することは出来ません。何故なら要介護になれば老健施設も、デイサービスも病院も職員の勤務に合わせた朝からの入浴、日中の入浴しか提供してこなかったのです。そういう意味では要介護状態になれば夜間に入浴するという普通の生活行為を奪われ、午前入浴や日中入浴に慣らされていたのです。
実際に私は8年前に滋賀の特養で夜間入浴を何人かの入居者に頼み、実施したところ、「体が温まり夜間のほうが良い」と言う声を聞くことが出来ました。また認知症の方で夜間不眠気味の入居者に夜間入浴を取り組んだところ「良く安眠されるようになった」と夜勤職員の報告を聴く事ができました。「夜間も含めて入居者が望めば入浴が可能になる特養にしたい」と私は考えてきました。
 
「週二回の入浴回数は最低基準」
また、週二回の入浴は定められた「最低基準」であって、「最高基準ではない」のです。熱発などで入浴できない場合は清拭が義務付けられていますが、最低基準すら守られていない場合もあります。むしろ「毎日でも入浴したい」という希望があっても無視する傾向が、まだ特養や老健施設にはあるのが実態ではないでしょうか。「隔日置きに入浴したい、毎日入浴したい、という入居者の希望に応えよう」と職員が提案すれば、「全部の入居者がそういう希望をすればどうなるのか」と恫喝的に拒否する現場責任者がいますが、全員が希望するということなど無いのです。何人かの元気な入居者の希望にどのように応えるかが課題なのです。

高井流 ユニットケア談義 シリーズ19

2012-11-05
一口メモ・ユニットケア談義  シリーズ19                              シリーズ18に続いて佛教大の永和教授のお話しを再掲させて頂きます。
「介護は儀礼的距離を図る職業」
介護は儀礼的距離化を図らなければならない職業なのです。何故かといいますと相手の何もかも見てしまう職業だからです。体の接触もし、お年寄りの全裸も、排泄する姿も全て全て見てしまっているでしょう。相手の体はむろんのこと、プライバシーの隅々まで見てしまう。プライバシーを知るのが家族ならいい。そうでない人は距離をつくらなければならないのです。これが職業上のルールであり、倫理なんです。
何故距離をつくらなければならないのか?。それは介護を職業としていて、その人の家族ではないからです。「私たちは家族のような関係なんだから」という人がいますが、そうしたら家族になれますか?。(中略)ところが家族のような関係と言いながら、一方では労働者の顔をするわけです。家族というのは介護に限界がないのです。ここまでしてここから先はしませんというのは成立しない。介護というのはきりがないのです。だからこそ皆さん、も仕事の内容や時間で誓約を作っていくわけでしょう。それでいて、言葉遣いのときだけは、私たちは家族のような関係なんだからと、家庭語、友達語を容認するわけです。そうなると本来距離をつくってしまわなければならない職業が、距離も何もない、公私混同になってしまう。専門性も関係ない職業になってなってしまう。(後略)
 
「舅、姑さんに対しての言葉遣いを…」
私は永和教授のこの講演テープ興しの文章を4年前に福井市の特養「あさくら苑」で働いていた時に目にして「目から鱗」が落ちた感じがしました。永和教授同様に特養で働くようになって30数年近い歳月が過ぎましたが、「入居者、利用者に対しての言葉遣いはできるだけ敬語で依頼形の会話」と、同僚や後輩の現場職員に言い続けてきました。また「結婚している職員が自分の両親に対しての話し言葉でなく、舅、姑さんに対しての言葉遣いで」と言い続けて来たのですが、これほど理論的に、学問的に理論付けられた話しは出来ていなかったのです。
少し長い引用になりましたが永和教授の了解を得て個別ケアを展開していくユニットケアにとっても「言葉遣いの問題がいかに重要か」を理解してもらうために掲載させていただきました。
 

高井流 ユニットケア談義 シリーズ18

2012-11-02
高井流 ユニットケア談義  シリーズ18
老人は我々職員の大先輩!!
新型であろうが、既存型であろうが特養や老健施設で、暮らす要介護のお年寄りは今の日本の地域社会、日本の社会を創って来られた「人生の大先輩」です。このことは認知症対応型のグループホームでも小規模多機能施設でもデイサービスでも同じです。職員にとって人生の大先輩に対しての会話はやはり敬語で依頼形の会話であるべきです。こういうことを書きますと「言葉遣いなんて気にしなくて良い、心がこもっていない敬語で依頼形の会話なんて意味がない」と言って憚らない、全国で生活リハビリを講演している三好何某がいましたが、対人援助だけでなく、心を込めて話すことは当たり前のことですから、さすがに最近このことについては、声は小さくなったようです。
「愛はあっても敬のない」
老人福祉法の第2条の基本理念には「老人は多年にわたり、社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な・・・敬愛されると共に生き甲斐を・・・」と明記されています。しかし、「敬愛」とは「敬い親しみを持つこと」の意味がありますが、特養や老健施設で働く、看護・介護職員には「敬愛」の意味が理解できていない職員が多いように思います。「施設出暮らす入居者に対して、「親しみは感じても」敬いがない」のです。「
敬い」は言葉遣いと態度でしか表せないのです。「親しくなったら言葉遣いなんて」、という論理は私たちの社会では通用はしません。職員は施設長に対して親しくなったら指示、命令形の言葉での会話なんて出来るわけはないのです。「老人と親しくなった、信頼関係がある」と思い込んでいるのは職員側だけのことも往々にしてあるのです。
 
「佛教大、永和教授は・・・」
京都市にある佛教大学社会福祉学科教授の永和良之助氏は平成20年の2月に開催された第6回京都老人福祉施設研究大会の講演会で言葉遣いの問題については下記のように述べておられます。少し長くなりますが引用させていただきます。
 
「私の運営する認知症対応グループホームでは、『認知症ケアは言葉遣いから始まる』を介護哲学としています。言葉遣いなんかどうでもいい、気持ちがこもっていればいいという人もいますが、そんなことを言っているのはサービス業の中では、老人介護の現場ぐらいです。ホテルの従業員がそんなこと言いますか?。言葉遣いなんてどうでもいいという傲慢なことを言っているのは介護現場だけだと私は思っています。
私に言わせると、相手が弱いから、お年寄りや家族が文句を言わないから居直っているだけです。それから職員とお年よりは家族のような関係だから、言葉遣いなんかはどうでも言い、という人もいます。丁寧語で話をすると、よそよそしい、冷たい感じがする、こんな勝手な理屈はありません。何故丁寧語でなければいけないのか、何故言葉遣いから認知症ケアは始まるのでしょうか。
その大前提として言葉というのはその人の心があらわれるということもありますが、丁寧語は相手と距離を作ります。使い方によってはよそよそしい、冷たい印象を与えるように、丁寧語は距離を作るのです。(
 
「儀礼的距離化」
だけど職員と利用者は距離をつくらないといけないのです。なぜか。例えばみなさんが満員電車に乗ったとしますね。前の女性と自分の体が密着している。その時に目と目を合わせてじっとその人を見るでしょうか。体がひっついてしまって身動きもとれない。そういう時はお互い目と目をなるべく会わさないようにするでしょう。JRのトイレに入ろうとしてドアを開けたら、おばあさんがお尻を出して座っていました。そんな時、皆さんはじっと見ますか?。慌ててドアを閉めて、見てみぬ振りをするでしょう。そういうエチケットがとても大事ですね。エチケットというのは儀礼的という意味ですが、こうしたことを「儀礼的距離化」と言います。人間関係を成立させていくためには距離を作らなければならないということで「儀礼的距離化」という学問用語があります。

社会福祉法人みのり
特別養護老人ホームぽぷら
〒525-0028

滋賀県草津市上笠1丁目1-22
TEL.077-563-0030
FAX.077-563-7900

特別養護老人ホーム
ショートステイ
ケアハウス

────────────────

地域密着型小規模

特別養護老人ホームなみき

〒525-0028

滋賀県草津市上笠1丁目1-16
TEL:077-563-6600
FAX:077-563-6602

────────────
────

デイサービスセンター湯楽里

〒525-0028

草津市上笠1丁目9-11

TEL:077-567-2688

FAX:077-562-0412

草津市上笠居宅介護支援事業所

TEL:077-565-0293

FAX:077-565-0412

松原地域包括支援センター

TEL:077-561-8147

FAX:077-561-9528

TOPへ戻る