一口メモ
一口メモ
一口メモ・ユニットケア談義 シリーズ87
2013-07-03
一口メモ・プライバシーのある生活とは?
2013年7月3日
プライバシーを辞書で引くと
「個人や家庭内の私事。私生活。個人の秘密。又それが他人から干渉を受けない権利」
と書かれています。欧米ではプライバシーは基本的人権として位置付けられています。日本でも「プライバシー権」「個人情報権」として位置付けられるようになりました。
しかし、社会福祉の対象者には、このような基本的人権はなかなか浸透がされにくいのです。例えば生活保護を受給している人にテレビやクーラーが認められるようになるには国民の大多数に浸透しきって、初めて認められたというように、もっとも最下位に位置付けられていることは問題と思います。
特養の個室化も法制化されて、9年が過ぎました。しかし、その特養の中でも職員が平気でプライバシーを「意識している」「意識していない」に関わらず侵害している事実があるのです。
昨年の8月に淡路島に平成18年に開設した聴力障がい者を対象にした特養の職員研修会に招かれ、「老人介護施設職員の専門性を考える」と題して話をさせてもらいました。
話した後、施設見学をさせて頂いたのですが、全室個室のドアに覗き窓が設置されていました。案内をしていただ事務長さんに理由を訊ねると「職員にも聴力障がい者が10人程居て、入居者も聴力障害者だから安否確認の為」ということでした。私は即座に「聴力障がい者の人が泊まるホテルや家には廊下や戸外から見えるように覗き窓を付けてなくてはならないのですね」と云うと、「それはちょっと…」とのことでした。10年程前に三重県上野市に出来た全室個室の特養にも廊下から職員が居室内を覗くことが出来る覗き窓のある施設を見学したことがあります。その施設もパンフレットには「全室個室でプライバシーを大切にします」と堂々と書かれていました。「看板に偽りありですね」と指摘して、その施設の施設長さんに渋い顔をされた記憶があります。
一般の特養にも高齢の為、難聴になった入居者は結構おられます。特養であれ、老健施設施設であれ、対象者がどのような障がいがあろうと「入居者居室のドアの覗き窓は明らかにプライバシー侵害」と私は考えています。でなかったら特養へ入居すればプライバシー権はない事になります。

一口メモ・ユニットケア談義 シリーズ86
2013-07-02
一口メモ・全室個室の小規模生活単位型(新型、ユニット型)特養誕生の背景
2013年7月1日
社会福祉の生活施設は2人雑居、4人雑居の居室が原則でした。個室に助成金がつくようになったのは1990年前後だったと記憶しています。軽費老人ホームのA型も2人雑居だったのです。養護老人ホームは個室化が進められていますが、まだ2人雑居、4人雑居の養護老人ホームもあります。軽費老人ホームの一種であるケアハウスが個室として誕生したのは1989年ですから、まだ20数年ほど前のことです。
特養の個室化は介護保険導入以前から問題にされていましたが、実現しませんでした。全室個室の特養は東京老人ホームが、1990年に開設したのが最初です。西日本では兵庫県朝来市生野町の「いくの喜楽苑」が1991年に全室個室化の特養として誕生しました。
滋賀県では当時は中主町に介護保険が導入された平成12年10月に「あやめの里」が全室個室の特養として初めて誕生しました。制度化は2002年ですから、東京老人ホームが最初に全室個室の特養として出現し、それから12年後です。
私は、全室個室型のいくの喜楽苑で淡路阪神大震災のあった1995年の1年間と1997年から2000年3月までユニットケアの原点を学びました。いくの喜楽苑開設後、富山県の「おらハウス」岐阜県の「ケアポートみまき」京都府の丹後半島の「虹が丘」等、散発的に全室個室の特養が少しずつ増えていきました。
全て、「プライバシーのある生活を社会福祉の対象者にも」という老人福祉関係者の闘いと先駆的な取り組みの成果でした。
新型特養の出現は2002年に「プライバシーのある生活」「少人数で家庭的な生活」を柱に法制化されたのです。まだ11年の歴史です。法制化された全室個室、10人生活単位、個室面積13.2㎡以上のユニット型特養が全国で開設し始めたのは2004年からです。その最初の年2004年に草津市で「ぽぷら」は誕生したのです。
しかし、プライバシー保持が出来る「全室個室のユニット型しか認可しない」という厚生労働省の方針は、わずか9年しか続きませんでした。2013年4月以降、都道府県レベルでは滋賀県を除く総ての46都道府県は4人雑居型特養の認可を認めたのです。臭いと音のプライバシーのない雑居生活の特養が再び建設され、お金持ちの要介護老人は個室の生活、低所得のお年寄りは雑居という7特養の歴史の逆流が始まり出したと思います。

一口メモ・ユニットケア談義 シリーズ85
2013-06-28
「福井県と岡山県の特養職員の見学者を迎えて」
6月17日、今年4月に開設した福井市の小規模特養「たぶのき」と、三方郡美浜町の地域密着型小規模特養「やはず苑」の総施設長さんをはじめ職員の方々13名と、6月27日には岡山市の地域密着型小規模特養「穂香の里」の施設長さん、職員さん9名の見学を受けました。
「穂香の里」は昨年の2月に職員研修会で私を招いて頂き、「やはず苑」は昨年の4月に開設前職員研修会、「たぶのき」は今年の2月に開設前研修会で私の話を聴いて頂いた施設の職員さん達でした。
いずれの施設の職員さんも見学後の感想で「ぽぷらもなみきのユニットもユニットのしつらえは工夫がされていて凄い」との感想を述べて下さいましたが、私の話を聴いていた時は「ユニットのしつらえの差は、ユニットリーダーの質の差であり、力量の差と話されていたが、それが良くわかった」「ぽぷらの11丁目はよくまとまって落ち着いた感じがした」との感想を話していただきました。
「穂香の里」は昨年の2月に職員研修会で私を招いて頂き、「やはず苑」は昨年の4月に開設前職員研修会、「たぶのき」は今年の2月に開設前研修会で私の話を聴いて頂いた施設の職員さん達でした。
いずれの施設の職員さんも見学後の感想で「ぽぷらもなみきのユニットもユニットのしつらえは工夫がされていて凄い」との感想を述べて下さいましたが、私の話を聴いていた時は「ユニットのしつらえの差は、ユニットリーダーの質の差であり、力量の差と話されていたが、それが良くわかった」「ぽぷらの11丁目はよくまとまって落ち着いた感じがした」との感想を話していただきました。
そして昨日、やはず苑の副施設長さんより見学のお礼状が私に届きました。嬉しく思いましたので少し、紹介をしておきます。
先日は施設見学受け入れありがとうございました。私は今回で3回目でしたが、進化している「ぽぷら」を見て「すごいなあー」と感動しました。1回目の時は藤田さんの居た頃です。2回目は去年、大瀧施設長と行った時です。「なみき」の方は間仕切りも無く入居者が廊下から丸見えでした。そして今回一番驚いたのは「なみき」のしつらえが大きく変わったことです。そしてぽぷらの方も覗き窓が修正されていたり、衝立が増えたり…、あさくら苑の時とは違ったデザインの衝立もあり「ぽぷら」と「なみき」の進化と共に…
と、書かれた手紙を頂きました。
この副施設長さんは福井市の新型特養で4年間一緒に働いた女性です。私が良く、その施設で毎月開催した職員研修会で話した「ユニットリーダーでユニットの取り組みやしつらえは決まる。ユニットリーダーは、注意が出来る批判力、色々なことを提案できる提案力、更にはユニット職員の先頭に立って実践できる実践力を磨くこと。その保障は学習すること」を忠実に実行した、30才代半ばの「お母さん職員」でした。
自分では「基礎学力がない、勉強しないと・・・」とよく話していましたが、昨年、介護支援専門員の試験を見事に合格した頑張り屋の女性からの手紙でした。

一口メモ・ユニットケア談義 シリーズ84
2013-06-07
一口メモ・6月6日付け新聞記事より
合計特殊出生率1.41やや上昇 2012年 30代の出産増える
の見出しで6月6日付け新聞記事が掲載されました。以下記事を紹介しますと
2012年の合計特殊出生率は1.41で、前年を0.02ポイント上回った。厚生労働省が5日に公表した人口動態統計で分かった。11年は前年比で横ばいだったが、2年ぶりに上昇。30代女性を知夕診に緩やかな回復傾向が続いていることが確認された。しかし、人口を維持できる水準からは遠く、今後も減少が続く見通しだ。
合計特殊出生率は1970年代後半から長く減少が続き、05年には過去最低の1.26まで落ち込んだ。その後は緩やかに上昇。30代になって出産する団塊ジュニア世代の女性が増えていることが影響しており、12年も30代以上の出生率が上がる一方、20代以下は下がった。
12年に生まれた子供は103万7101人、前年より1万3705人減り、過去最少だった。晩婚、晩産化の傾向も続く。初婚の平均年齢は夫が30.8才、妻は29.2才、女性が最初の子を産んだ時の平均年齢は30.3才。いずれも過去最高を更新した。
高齢化が進んだ影響で死亡数は前年より3188人多い125万6254人にのぼった。人口の自然減は21万9153人となり、07年以降、減少ペースが加速している。朝日新聞より
若い人たちが低賃金に喘ぎ、子育てどころか、結婚の夢も断ち切られる世相になっています。ワーキングプアという年収200万円以下の人は1000万人以上を数えています。派遣会社からの派遣社員は時給も上がらず、ボーナスもなく、結婚も出来ないのです。老人介護の現場も低賃金に苦しんでいます。若い人たちが安心して働け、生活できる社会にして行くには、民主党政権も駄目でしたが、今の政権でもだめと思います。消費税を上げる前に賃上げが先行しない限り、未来は開けないと思う昨今です。

一口メモ・ユニットケア談義 シリーズ83
2013-06-04
2012年認知症老人推計462万人!予備軍400万人
6月1日新聞で厚生労働省研究班推計として「2012年時点で認知症老人が462万人と云うことが分かった」と掲載されました。また「軽度認知症障害と呼ばれる認知症予備軍が400万人ことも初めて分かった」と一面の記事で掲載されていました。この推計認知症患者は65才以上高齢者の15%にあたり、予備軍を含めると約28%を占め、高齢者の認知症はごく当たり前の時代となったとも報じられています。
我が国の昨年の女性の平均寿命は85.90才となっていますが85才以上では認知症老人は4割を超えるそうです。また認知症の型ではアルツハイマー型が67.6%を占め、脳血管型が19.5%、レビィー小体型が4.3%となっています。
認知症予備軍は65才~69才では8.4%を占め、加齢とともに増え80才~84才では22.9%となっており、高齢者の3人~4人に1人は認知症と認知症予備軍になるとのことです。
6月1日新聞で厚生労働省研究班推計として「2012年時点で認知症老人が462万人と云うことが分かった」と掲載されました。また「軽度認知症障害と呼ばれる認知症予備軍が400万人ことも初めて分かった」と一面の記事で掲載されていました。この推計認知症患者は65才以上高齢者の15%にあたり、予備軍を含めると約28%を占め、高齢者の認知症はごく当たり前の時代となったとも報じられています。
我が国の昨年の女性の平均寿命は85.90才となっていますが85才以上では認知症老人は4割を超えるそうです。また認知症の型ではアルツハイマー型が67.6%を占め、脳血管型が19.5%、レビィー小体型が4.3%となっています。
認知症予備軍は65才~69才では8.4%を占め、加齢とともに増え80才~84才では22.9%となっており、高齢者の3人~4人に1人は認知症と認知症予備軍になるとのことです。
昨年8月24日新聞記事で
「認知症高齢者は現時点で300万人を超え2002年の149万人から、この10年間で倍増していることが、厚生労働省の推計で明らかになった。65才以上人口の10人に1人にあたり、従来の予測を大幅に上回る急増ぶり。厚労省は来年度から新たな認知症対策を始めるが、体制整備が急がれる。2010年時点ではその数は280万人。12年段階では、305万人に達しているとみられる。将来推計では2015年は345万人、20年は410万人、25年は470万人、と見込んでいる。前回推計では10年は208万人、25年は323万人だった。」
「認知症高齢者は現時点で300万人を超え2002年の149万人から、この10年間で倍増していることが、厚生労働省の推計で明らかになった。65才以上人口の10人に1人にあたり、従来の予測を大幅に上回る急増ぶり。厚労省は来年度から新たな認知症対策を始めるが、体制整備が急がれる。2010年時点ではその数は280万人。12年段階では、305万人に達しているとみられる。将来推計では2015年は345万人、20年は410万人、25年は470万人、と見込んでいる。前回推計では10年は208万人、25年は323万人だった。」
と掲載され、その時は高齢者の1割が認知症高齢者とは随分と多いと感じていましたが、今回はその時より1年も経過していないのに、1.5倍化しているのには本当に驚きました。
私も来月には64才になるのですが、最近は人の名前がなかなか覚えられず、また思い出せずにいる自分を自覚しています。どうも私は現在は認知症予備軍で、2年くらい経過すると確実な認知症老人になっていると思います。だからこそ「ぽぷら」と「なみき」は「私が入居者したいと思える特養にして欲しい」のです。
私も来月には64才になるのですが、最近は人の名前がなかなか覚えられず、また思い出せずにいる自分を自覚しています。どうも私は現在は認知症予備軍で、2年くらい経過すると確実な認知症老人になっていると思います。だからこそ「ぽぷら」と「なみき」は「私が入居者したいと思える特養にして欲しい」のです。
私自身、50才までは「自分の親を入居者させたいと思える特養に」とよく職員に話していたのですが、2012年4月に50才で滋賀県竜王町の「万葉の里」に赴任して以後は「私が入居したいと思える特養にして欲しい」と話し続けてきたのです。
