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一口メモ

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高井流ユニットケア談義パート3

2012-10-01
「ユニットケアは職員が生命線」
ユニットケアとは個々の入居者に合わせた「心身の介護」を展開することです。それには1人ひとりの「入居者を大切にしたい、知りたい」という職員がチームで形成されて可能なケアの手法なのです。それでは「入居者の何を知りたいのか」ということですが、パート2でも述べましたが、生活暦、嗜好、人間関係、趣味、残存能力、疾患から障害、経済状況、家庭環境、家族関係、誕生日から血液型などを含めて、ありとあらゆることを個々の入居者について職員は知ることが大切なのです。とりわけ要介護状態になる前の生活の様子は家族などを通じて知ることが必要です。入居者の家族が面会に来ても、家族~色々と情報を知ろうとしない、かかわろうとしない職員にはユニットケアの展開は困難です。そして要介護状態の今、個々の入居者の元気だった在宅時の生活を取り戻すことがユニットケアの1つの課題と考えています。
 
「身体介助の個別化は当たり前」
個別ケアの展開といえば入浴や排泄、食事を中心とした身体介助を個別化することと解釈している貧困な発想の介護職員がいますが、このことは特養や老健施設の職員にとっては当たり前のことなのです。
例えば旅行好きだった入居者には希望を入居者から聴き出し、行く先を入居者と一緒に決め、一泊旅行を取り戻すことなのです。できれば家族も一緒に同行を促すことも大切なことです。
施設によっては毎月、週と曜日を設定して「誕生会」なる催しをしている施設がありますが、一人ひとり生まれた日に誕生の祝いの言葉を受けて私達もはじめて嬉しく思うのが当たり前と考えるのです。保育園の誕生会を老人介護施設施設に持ち込むなと私は思います。我々同様に当たり前のことが当たり前に一人ひとりが大切にできないのが老人介護施設というならこんな悲しいことはないと思うのですが…。
1人一人ひとりを大切にする、そういう取り組みを「入居者と一緒にしたい」という職員が、チームで形成されていることが必要条件と思います。
 
「新型(ユニット)特養は約2000施設に」
ユニットケアの推進は「職員の質と姿勢」が必要条件ならば、十分条件は、ユニットケアに対しての「施設管理者の理解と姿勢」といえると思います。特養は昨年6月に6864施設を数えるまでになりました。その内全室個室、10人生活単位のユニット型特養は小規模を含めますと全国で1824施設に増えています (厚生労働省)。この数値は昨年の6月の数値ですから、201210月現在特養は7000施設に達し小規模生活単位型特養は2000施設を超えていると思われます。
「管理者の理解と姿勢」
2004年以来、地域密着型小規模特養を含めて、30余りの小規模生活単位型特養を見学させてもらってきました。しかし、本当の意味で全室個室の小規模生活単位型特養はユニット型特養としての援助実践を展開しているといえるユニット型特養は少ないと感じています。その理由の1つは管理者がユニットケアは心身の個別ケアの追及と展開とは考えていないことにあると思います。いわゆる全室個室になっただけで、「形だけの新型、ユニット型特養」、といえば言い過ぎでしょうか。
逆に既存型の特養でも50人定員とショートステイ20人をいくつかのグループに分け、夜勤を含めて専任化して、倉庫や職員室を共同生活室(ユニットリビング)を作り、ユニットリビングで食事の盛り付けや曜日を決めて食事作り、入居者の個別のニーズに合わせて外食、買物外出、日帰り旅行や一泊旅行などの取り組みを家族参加も求めて積極的に取り組んでいる既存型特養もあるのです。私自身尼崎市にある喜楽苑に19年ぶりに戻り1年間働かせて頂いて感じることが出来ました。また、岡山市の健生園に職員ともども見学させて頂いて強く感じました。それには「そういう取り組みをしたいという職員」と、そういう取り組みを推進する「職員を支える管理者、施設長」がいて、はじめて個別ケア、ユニットケアが展開するのです。
 

高井流「ユニットケア談義」 パート2

2012-09-30
 
「ユニットケアは個別ケアを展開する手法」
ユニットケアは50人から100名という大集団を幾つかのユニット(グループ)に分け、職員をもそのユニットの専任化して援助に当たるというケアの手法なのです。何故、大きな集団では個別ケアの展開が難しいのかというと、職員と入居者の関係が1501100という関係では日常生活動作(ADL)以外の把握が困難なのです。ユニットケアは1人ひとりの入居者の生活暦や、趣味、嗜好、性格、家族関係、人間関係、疾患や既往症暦など、ありとあらゆる本人のこと、私に云わせれば誕生日から血液型まで把握し、本人が満足する援助を展開することと考えるのです。しかし、従来の50から100名という介護単位ではそれが出来ず、入浴、排せつ、食事などの身体介助のみに終わってしまう傾向が強くなってしまいがちで、職員本位の「介助」しか、取り組めなくなるからなのです。
厚生労働省がユニット型特養を位置づけた当初、「全室個室、10人生活単位型でなかったらユニットケアとは言わない」と言い放った施設長がいましたが、ユニットケアは個別ケアを追及し、展開する援助の手法を指すのです。
そういう意味では今では全室個室、10人生活単位のユニット型特養(新型、小規模生活単位型特養とも呼ぶ)はむろんのこと4人雑居を基本とした既存型特養もユニットケアを導入していくことが課題となっています。と云うことは、全室個室の小規模生活単位型)は必ずしもユニットケアを実践しているとは言えないと、私は考えています、
「介助と介護は異なる」
職員と入居者の比率が1501100という関係よりは、110125の方が職員は個々の入居者のADLをはじめ三大介助の方法もよく分かり「その人に合わせた介護がしやすい関係」になるのです。
「介助」は入浴、排せつ、食事を中心とした身体の介助を指しますが、「介護」は身体の介助をしながら対象者の心の満足、納得を得てはじめて「介護」と呼ぶことが出来ると考えるのです。それには個々の入居者を深く知る、理解するという職員の下でしか、介護はできず、ユニットケアの展開は難しいと言えると思います。
 

髙井流「ユニットケア談義」パート1

2012-09-27
「ユニットケア談義」シリーズ1
「ユニットケア」という語句が誕生して20年程の歳月が過ぎました。今では社会福祉の業界、とりわけ老人介護施設では誰もが知る語句となっています。その「ユニットケア」の具体的な考え方、取り組みや方法について、1995年から通算3年余り学び兵庫県朝来市にある全室個室型特養「いくの喜楽苑」で職員と共に実践したこと、滋賀県の竜王町の万葉の里、野洲市の悠紀の里、東近江市の能登川園、福井市の小規模生活単位型特養(新型特養、ユニット型特養とも呼ぶ)「あさくら苑」と、10数年間ユニットケアをそれらの施設職員達と共に実践したユニットケアを、私なりに「ユニットケア談義」と題して述べてみたいと思います。
 
「ユニットの意味は?
ユニットを辞林で調べますと「全体を構成する単位、単元」と書かれています。ということは「ユニットケア」とは従来の特別養護老人ホーム(以下特養)や老人保健施設などで大きな集団、50100人の生活単位をいくつかのグループに分けてケアを展開するという介護の手法をいうのだと思います。
厚生労働省は平成2002年に前倒しで、これからの特養建設については「全室個室で10人以下の生活単位のユニット型特養しか認可しない」という方向を示しました。滋賀県では2000年に旧中主町の「あやめの里」が全室個室で開設した最初の特養と思います。そして個室の面積は、約8畳の広さの13.2㎡以上と云うものでした。もっとも2011年には個室面積については10.65㎡以上に格下げをしてしまいましたが。
 
「高い部屋代全室個室、何故、10人生活単位?
全室個室を義務付けたのは「プライバシー保持の徹底」と表向きは4人雑居の時代と比較すると前進面です。しかし、「プライバシー保持は買う」ものとして部屋代をホテルコストとして、入居者やその家族に負担させ、施設の共用部分の負担しかしないという後退面があり、入居者の居住部分、個室の建設負担が入居者に大きくのしかかっているのです。今では小規模生活単位型特養の部屋代はアパートやマンションの部屋代より多額と思われる1日3000円を大きく超え4000円台の特養も表れています。
ユニット型特養は三度の食事を取る食堂(ユニットリビング、法的には共同生活室)が10人以下の生活単位と位置づけられています。年々、認知症の病を受けた入居者が多くなり、2012年推計出305万人と報道されました。ですから、今では特養や老健施設では認知症の老人が9割以上という統計結果もあります。
認知症老人が職員や入居者同士の名前は覚えられなくても、顔で覚えられる人数ということでは、10人という人数は、より分かりやすい数とは思われます。
 

佛教大学

2012-09-26
「永和先生との出会い」
 私は、書籍は出さない、と決めていました。出さないではなくて文章を書く自信がなかったのです。そんな私に永和先生から電話が掛かってきました。1995年の夏のことです。私は当時、淡路阪神大震災で被害を受けて開設が延期となったあしや喜楽苑入居予定者が、いくの喜楽苑に10名が緊急入居され、その応援のために福井市の朝倉苑を一旦退職し、いくの喜楽苑に応援のために勤めていた時のことです。
先生は「共著で本を出さないか、素敵な喜楽苑の取り組みを全国に紹介したいと思わないか。喜楽苑の取り組みをを全国に広げたいと思わないか」、と云うような内容だったと思います。永和先生は愛媛県の聖カタリナ女子大で教鞭をとっておられるとの事でした。物静かで優しい口調だったことを、今もはっきりと思い出すことができます。
丁度、その時期に高知県のボランティア団体連絡協議会から総会の記念講演の依頼を受けていましたので、その際に先生のお住まいの愛媛県松山市に向かいますので、お会いしてお話しを伺、うということですみました。そして8月の下旬に講演を済ませ、その翌日に高知市から松山市にマイカーで向かったのです。先生にお会いした第一印象は「何と柔和な人だろう」と思ったのですが、話の内容は実に過激で刺激的な内容だったのです。語り口は優しいのですが、話される内容は既存施設の批判、職員の専門性の欠落、施設経営者の営利追求の運営実態等々、実に正確で的を得たものでした。予定していた2時間がアッという間に過ぎ去ってしまったことを鮮明に思い出すことが出来ます。その場では執筆の返事は出来なかったのですが、帰路の運転は実に爽快で気持ちの良いものだったことを思い出します。後日、先生から電話がかかってきました。私はその時には「きっとこの先生だったら下手な文章を書いても手直しをしてくれるだろう。永和先生を信用して駄筆でも書いてみよう。喜楽苑での取り組みを是非、全国の特養で働く仲間に知って欲しい」と決めていたのです。そして1996年5月に中央法規出版から発刊されたのが「私たちが考える老人ホーム」-新たな老人福祉の創造-と云う書籍だったのです。
ですから、私は1995年の夏以降「私の社会福祉に対しての先生は永和先生だけ」と言いつづけているのです。

佛教大学社会福祉学部教授 永和良之助氏のこと

2012-09-25
私は滋賀の小さな介護施設を運営するNPO法人の理事をしています。佛教大学の永和教授もそのNPO法人の理事をして頂いているのですが、去る9月19日に理事会があり、その日2か月ぶり永和先生にお会いしました。理事会が終わり、その日永和先生が神戸市のさる病院が開設された施設の開設記念講演のレジメを頂きました。私は何度も読み返し、「永和先生は、やっぱり私の社会福祉先生」と思いました。
 例えばこの講演の中で「介助」と「介護」の言葉の持つ意味の違いについて「介助」は生理的欲求・安全欲求への充足行為=身体介助と説明され、「介護」は人間らしい生活の再建、創造。介助を含む、と述べられています。また「介護とは、身辺自立で出来なくなったことの手助け(介助)に加え、病や障害を背負いながら生きてい掛ければならない辛さを理解し、再び尊厳ある人間らしい生活が営めるよう援助していく生活支援の営み。介護職とは、それを職業として選択した者。介護で問われるのは質。」と説明されています。
そして①「福祉サービスの質は職員の質により保障される」②職員の質は何によって左右されるか、それは学習、研修の重要性にある。ケアには多くの学問が含まれており、け無限に学ぶべきものがある。学習しない職員は利用者に有害な存在となる。勉強しない医師に診て貰う恐ろしさを想起せよ、と社会福祉に携わる職員の学習の必要性を述べられ、生涯学習を続けるのは介護を職業として選んだ者の職業倫理、と言い切っておられます。
 私は「社会福祉施設の質は職員の質」「職員の質はリーダーの質」そして「それを支える施設管理者が居ての質の保障」と強い共感を持ちました。「社会福祉施設の質はハード3で職員の質は7」という高名な人の講演を聴いたことがありますが、私は職員の質が95%以上占めると確信しています。
また、私も「ぽぷら」と「なみき」で働く職員に対して学びの必要性を赴任して6か月間言い続けてきましたが、先生のこのレジメを読んでその説得性に「やっぱり先生や」と思った次第なのです。
                                  職員研修担当 髙井時男

社会福祉法人みのり
特別養護老人ホームぽぷら
〒525-0028

滋賀県草津市上笠1丁目1-22
TEL.077-563-0030
FAX.077-563-7900

特別養護老人ホーム
ショートステイ
ケアハウス

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地域密着型小規模

特別養護老人ホームなみき

〒525-0028

滋賀県草津市上笠1丁目1-16
TEL:077-563-6600
FAX:077-563-6602

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デイサービスセンター湯楽里

〒525-0028

草津市上笠1丁目9-11

TEL:077-567-2688

FAX:077-562-0412

草津市上笠居宅介護支援事業所

TEL:077-565-0293

FAX:077-565-0412

松原地域包括支援センター

TEL:077-561-8147

FAX:077-561-9528

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