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一口メモ

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高井流 ユニットケア談義 パート8

2012-10-09
「ユニットケア談義」  シリーズ8
「馴染みの関係作りに欠かせないことは!」
「馴染みの関係作り」に欠かせないことがあります。それは入居者同士、あるいは職員が入居者と「一緒にする」ということです。例えば「ぽぷら」と「なみき」では厨房で作った料理を、各ユニットのリビングに備えてあるシンクで盛り付けていますが、そういう取り組みを職員と入居者が一緒にすることなのです。
 デイサービスでも同じです。デイサービス利用者を「ゲスト」と呼び、「来客」と位置づけ、レスランサービスのように手取り、足取りのサービスを展開しているデイサービスもありますが、そういうデイは「自立支援の援助をしているデイサービスと呼べない」と私は考えています。デイサービス利用者は「来客ではない」のです。営利を目的に客扱いしていることは誤りと思うのです。 
 入浴介助を求めてのデイサービス利用であり、機能回復訓練、リハビリが目的の利用、趣味や、友人とのおしゃべり、家族の介護軽減など、利用者と在宅介護者のニーズに基づいての利用であるのですから、そのニーズに応える自立支援のサービスが大切なのです。
 ですから利用者と職員が「一緒にする」取り組みをすることが課題と思います。アクティビィテイも職員と入居者が一緒に楽しむことが大切なのです。
 
「外食外出は施設の支えが・・・」
「ぽぷら」と「なみき」では希望される入居者に対して必要に応じて「外食外出」「おやつ外出」に取り組んでいますが、職員も入居者同様に自分の好みの物を注文し、飲食するようにしています。その際に職員の負担を軽減するために、外食外出は千円までは職員の負担は3百円の負担で済むようにして、7百円まで施設が負担をしています。街の喫茶店などで入居者と一緒に寛ぐ「おやつ外出」の場合、500円までは施設が400円負担し、職員負担は100円として、それを超える場合は職員負担としています。
このようにして職員が外食外出の付き添いをしやすくするように施設が支えています。カラオケボックスにも歌好きの入居者が職員と行くなど入居者の希望を聴き、意欲的に取り組むのが「ユニットケア」の真髄なのです。
ぽぷらとなみきの入居者は今年の春に「伊勢、鳥羽の一泊旅行」に取り組み鳥羽の扇芳閣に泊り楽しい思い出を5名の入居者に創って頂くことが出来ました。
また、日帰り旅行は京都水族館、日野町の「ブルーメの丘」、三重県長島の「なばなの里」、「京都嵯峨のトロッコ列車」、「関ケ原の鍾乳洞」等、数えればいくらでもあります。これからの秋の季節はぽぷらとなみきの入居者の希望に沿って、それぞれユニットの職員と入居者で一泊旅行の計画が進んでいます。
 
「大切な施設の支えと管理者の理解」
そういう意味では施設の支えといいますか、管理者(施設長)の理解と支えがなければ、ユニットケアの個別ニーズの取り組みは実現しないことは明らかです。「もし事故が発生したらどうするのか?」「誰が責任を負うのか?」という責任逃れに終始する管理者の下ではユニットケアの発展は望むべきもないのです。「外食や旅行費用の負担は全部職員で負担せよ」という施設では、劣悪な低賃金を押し付けられている現場職員には積極的に外食や旅行の外出に取り組む意欲は湧いてこないのは自明です。事実、今まで働いて来た特養でそういう体験を私はしました。
介護保険導入後「外出の取り組みは家族に任せるべき」という施設管理者に少なからずであって来ました。介護保険が導入され12年目となりますが、特養は要介護老人の「生活施設」とは言えない「生かされ施設」「三大介助特養」になり下がった施設も多く見てきましたし過去私が働いた施設も「退化」した特養もあります。
個々の入居者の「生活を再構築」しようとしない意欲の低下した職員と、「儲け主義」「事なかれ主義」に陥った管理者の台頭が「介護保険」というのは言いすぎでしょうか。
 
 

高井流 ユニットケア談義 パート7

2012-10-06
ユニットケア談義  パート7
「何故、小規模化と職員の専任化が必要?!」
4人雑居の既存型特養でも、全室個室のユニット型特養でも、何より大切ことは職員が個々の入居者を深く知り、在宅時の生活の復活を図り、個別ニーズの実現に努めるという「個別ケアの実現と追求」をするものなのです。それには従来の50100人という大集団では、個々の入居者の様々な情報を職員の頭の中で記憶させ、整理しにくいから、小規模のグループに編成し、一人ひとりに合わせた身体介護と、生活の復活を図るものなのです。ですから職員も入居者のグループに合わせて専任化することが必要になります。
ユニット型特養で、その月にお生まれになった入居者をひとまとめにして「誕生会」などと称し、実施している施設がありますが、「特養の保育園化」にしてはいけないと考えるのです。その入居者にとっては365日の内、1日だけがその人の誕生日であり、その日に祝うのが当たり前のことなのです。
 
「顔で覚える馴染みの関係作りが、二つ目の柱!」
いわゆる「名前で覚える関係(認知症のお年寄りは入居者同士、職員の名前を覚えられない)」から「顔で覚える関係」を構築することなのです。ですから少人数にして職員の専任化が必要なのです。
しかし、それには職員が「1人ひとりの入居者を深く知りたい」と思い続けなければユニットケアは開花も進化もしません。個々の入居者の生活暦は当たり前のこと、残存能力を知り、性格、嗜好、人間関係、家族状況や関係、経済状況血液型から誕生日まで「深く知りたい」と思い、そのために入居者の傍に座り、または向き合い、入居者の話しを聴くことからはじめなければならないのです。
また、家族などから面会時にその入居者の昔の様子や在宅時の生活を訊き出し、情報を集めることが必要なのです。家族が面会に来られても、家族と話すことをしない職員では、家族と信頼関係を構築していくことも困難ですし、入居者の元気だった頃の在宅生活も知ることは出来ません。ユニットの介護職員は積極的に家族とも話せることが大切なことなのです。そして入居者の想い、したいこと、したかったこと、悩みや悲しみを職員が知ってこそ、個別ケア、ユニットケアが進むのです。進化するのです。そして入居者と職員が家族を巻き込み、一緒に色々な取り組みをしてこそ「馴染みの関係を深めていく」ことが出来るのです。「馴染みの関係の構築」がユニットケアのもう一つの柱です。
 

高井流 ユニットケア談義パート6

2012-10-05
 
ユニットケア談義 シリーズ6
「四人雑居の既存型施設でもユニットケアが・・・」
福井県の特養の施設管理者で「10人生活単位、全室個室のユニット型特養しか、ユニットケアは出来ないし、ユニットケアとは呼ばない」と云い続けていた人がいましたが、ユニット型特養(新型特養)でもユニットケアの出来ていない施設は多々あります。逆に既存型の特養、老健施設でも職員と管理者が工夫と努力を積み重ね、ユニットケアを導入し、入居者・利用者に豊かな老後生活を作り出している施設もあるのです。このシリーズ3でも述べましたが、ユニットケアは「施設入居者と職員が一緒に擬似家族を構成して、共に暮らす」という新しいケアの手法を指します。  
ぽぷらとなみきに赴任して、岡山市の健生園へ職員と一緒に見学させて頂きましたが、既存型の特養でユニットケアを導入して素敵な個別ケアを実践されていることに大きな感動を職員は受けました。また今年の3月末まで働かせて頂いた尼崎市の喜楽苑も素晴らしい個別ケアを取り組んでいました。また、京都府の北部の京丹後市の丹後園は既存型特養ですが隣接されているユニット型特養の第二丹後園同様に素敵なユニットケアを導入され実践されている施設の一つと思います。
擬似家族の構成には制服やジャージは似合うはずはありませんし、首から写真入りの自己紹介カード(ネームプレート)ぶら下げる必要は全くありません。小ざっぱりした普段着で良いのです。職員のユニホーム姿は入居者と職員を「介護される人」「介護する人」と分けるものでしかありません。看護職と介護職の制服が異なるというのも同じことです。認知症のお年寄りに、誰が看護職員で介護職員か、服装で識別してもらう必要がどこにあるのでしょうか。
写真入りのネームプレートを首から下げるのは「面会者の家族に職員の名前を知ってもらうため」というなら、当日出勤者のカードを作成し、写真を貼り付けてユニットリビング玄関入口にでも貼り出せば済むことです。第一、ネームプレートを着用している家庭なんて無い筈です。
出来るだけ家庭でしないことは特養でもしない、このことが大切なのです。ユニット型特養を見学させて頂くと、模造紙に23か月前に取り組んだ行事の写真を保育園の遊戯室同様に貼り出している施設がありますが、そういうことをしている一般家庭は少ないのではないでしょうか。家族に焼き増し注文を取るためと云うなら、23月間も…?と思うのです。写真を飾りたいなら写真楯で飾ることです。また、色々な取り組みの写真はアルバムに貼り、入居者と一緒に見ながら想い出話に花を咲かせるのが介護職員の役割の一つと思うのです。

高井流 ユニットケア談義パート5

2012-10-03
「安心して座っていられる場所を作る視点」
私達職員が街の居酒屋で「飲み会」をするときに大きな広間で他のグループと同席するのと、自分達のグループだけが集える部屋があるのと、どちらが落ち着いて飲み会が出来るかを考えれば一目瞭然です。他のグループや客達の視線を感じない場所のほうが落ち着くのです。
特養や老健施設だけでなく、グループホームや小規模デイなどでも入居者や利用者が安心できる場所、安心して座っていられる場所は衝立や暖簾などで間仕切り、他の人達の視線を感じない空間を作り出すことです。大正、昭和の戦前に生まれ、生活されてきたお年寄りが安心できるのは襖や障子で囲まれ、他者の視線が感じられない方が落ち着くのです。 
特に認知症のお年寄りは敏感です。他者から見られない空間で10人前後のいつもの同じ顔ぶれが居れば、より落ち着くのです。
また、その場所は蛍光色の冷たい色ではなく、できれば太陽の暖かさを感じさせる昼光色の灯りが良いと思います。さらには和服や、その土地のなじみのものが飾られていたり、生きた花が置かれ、金魚や熱帯魚、室内犬などのペットが飼われていたりしますと、その場が和むことは必然です。ここでも豊かな職員の工夫や思いが、いかに大切なことかを思い知らされるのです。認知症のお年寄りに「家」を感じさせる空間作りです。「家に帰りたい」と思わせない空間作りがユニットケアなのです。
 
「適当な広さでなく、適当な狭さの空間作り」
 20世紀の介護職員は、その施設で生活されているお年寄りが、今どこで何をしているのか、直ぐに分かる空間を求めてきました。介護職員は、できるだけ多くの入居者が見渡せ、安全重視、入居者監視優先の職員が多数を占めるのが施設でした。ですから、職員の視線を遮るものを共同生活室(ユニットリビング)や廊下、居室の入り口に置きたがらなかったのです。酷い施設になりますと、トイレのドアを開け放して、お年寄りが排泄をしているというような施設がありましたし、廊下からリビングが丸見え、何て施設は今もあります。いわゆる学校型、病院型の施設です。入居者本位と云いながら、実際は職員本位なのです。
全室個室10人生活単位のユニット型特養や認知症対応型グループホームでも同様のことがいえます。建設当時のままの状態で、とにかくリビングが広いと感じられ、職員の手が加えられていない特養や老健施設、グループホームでも同じことがいえます。そういうユニットリビング(共同生活室)のところは大抵、認知症の入居者の個室は、病院の病室と何ら変わらない施設が多いと感じています。その基準は深夜入居者が寝静まったユニットリビングに介護職員が一人で座ってみて、「広いなあ、落ち着かないなあ」と感じる施設は工夫が必要になるのだと私は考えています。
職員も落ち着いて座っていられない空間は、認知症の入居者にとっても落ち着かない空間と云うのは当たり前のことです。生活されているお年寄りが、ゆったりと座って入居者同士、あるいは職員と会話を楽しむことは出来るべくもないのです。そういう意味ではユニットリビング、共同生活室は「適当な広さではなく、適当な狭さ」が大切と考えるのです。

高井流 ユニットケア談義パート4

2012-10-02
「ユニットケア、二つの柱」
ユニットケアは「個別ケアの追及と展開」と述べてきました。個別ケアとは1人ひとりの要介護のお年寄りに合わせた三大介助の提供と、その人らしい生活の展開です。それを特養や老健施設で展開していくに先ず、しなければならない二つの柱があります。それは圧倒的に多くなった特養や老健施設で暮らす認知症のお年寄りが「安心して座っていられる居場所を作ること」、「馴染みの人間関係をどのように作るか」ということです。
「安心して座っていられる居場所とは?
認知症のお年寄りが安心して座っていられる居場所とはどんな場所でしょうか。小規模生活単位型特養は増えて来ていますが、まだ現在、特養では最も多いのが4人雑居の50人定員の既存型特養です。そしてその既存型特養の大食堂は安心して認知症のお年寄りが座っていられる居場所となっているでしょうか。社員食堂のような大食堂は空腹を満たす場所で、とても家庭的な雰囲気などは望むべくもありません。1980年代から90年代に建設された回廊型特養の大食堂はとても認知症老人がくつろげる場所ではないのです。私達職員にとっても大食堂は食事の後、テレビを見ながら同僚同士が談笑してくつろげるような場所とはなっていないのです。私が過去働いた滋賀の特養3つとも赴任当初は大食堂での一斉の食事でした。2000年に滋賀県で最初に働いた公設民営の特養は、キリスト教の礼拝堂を思わせるような高い天井の大食堂で、昼食は特養入居者50名、ショートステイ利用者20名、デイ利用者20名、ケアハウス入居者15名と職員が一斉に食事をしていたのですから本当に驚きました。とても家庭的な雰囲気ではなく、まさに会社の食堂でした。
 
「安心して座っていられる居場所は家庭的な少人数」
認知症老人が施設玄関に近い知頃に設けられた事務所の事務員に「家に帰りたい」と訴えてくるのは、安心して座っていられる居場所がその施設の中に無いからなのです。酷いことには事務所にまでいけないように棟にテンキーで閉じ込めている特養や老健施設もまだ多くあるのですから、あきれ果てます。
さらに自力歩行の出来る認知症老人の居室は雑居で床頭台とベッドだけで生花の切花一輪も置かれていない、食堂は大人数の大食堂でくつろげない、セミパブリックの談話コーナーは精神活動のしっかりした入居者が占拠していて、認知症老人が安心して座っていられる場所なんて、今までの特養や老健施設には無かったのです。
それがユニットケアの手法が広がり、大きく特養や老人保健の設えが変わったのです。4人雑居の既存型特養でも介護職員室や会議室、倉庫を開放して入居者を小グループに分け、シンクを設置し、リビング(共同生活室)に、そしてそのリビングはユニットを構成する入居者以外の人達からの視線を遮る工夫がされだしたのです。
またユニットリビングはユニットを構成する入居者の居室から遠くないことが望ましいのです。何故なら車椅子使用の入居者がリビングと居室が近いと「直ぐに横になって休めるベッドが近い」という安心感があるからです。
 
「再度、重要な管理者の役割」
法的には10人生活単位の入居者が集うリビングは「共同生活室」と呼ばれています。このリビングをそれぞれどの様な特徴を醸し出すかが、職員の力量であり、専門性の一つです。設計段階でユニット単位に特徴を作り出している施設もありますが、基本は職員の工夫と努力、そしてそれを支える管理者の存在です。例えばハードは同じ作りでもカーテンを「居室毎に変えたい」、あるいはユニット毎に入居者と職員が使用する食器を職員や入居者が「選択し購入したい」「ユニットで入居者と一緒に食事の盛り付けをしたい」など、職員のの声が上がれば任せるなどは管理者の姿勢です。

社会福祉法人みのり
特別養護老人ホームぽぷら
〒525-0028

滋賀県草津市上笠1丁目1-22
TEL.077-563-0030
FAX.077-563-7900

特別養護老人ホーム
ショートステイ
ケアハウス

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地域密着型小規模

特別養護老人ホームなみき

〒525-0028

滋賀県草津市上笠1丁目1-16
TEL:077-563-6600
FAX:077-563-6602

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デイサービスセンター湯楽里

〒525-0028

草津市上笠1丁目9-11

TEL:077-567-2688

FAX:077-562-0412

草津市上笠居宅介護支援事業所

TEL:077-565-0293

FAX:077-565-0412

松原地域包括支援センター

TEL:077-561-8147

FAX:077-561-9528

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