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一口メモ

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高井流 ユニットケア談義 シリーズ17

2012-10-30
一口メモ・ユニットケア談義  シリーズ17
「形も残らず、目にも見えない介護の質があります。それは言葉づかいです。」と、このシリーズ16で述べました。「老人は人生の大先輩」と言いながら酷い言葉遣いをしている施設職員が何処の施設にも現実にいるのです。いわゆる言葉の暴力です。特養等の老人介護施設では特に認知症老人に対して浴びせているのです。
1016日の読売新聞朝刊に「特養入居者を職員虐待」「神戸市新規受け入れ半年停止」と云う見出しで次の記事が掲載されていたことは一口メモで述べましたが、確認の意味で再掲します。
「神戸市は垂水区の特養で女性職員4人が入居者に暴言を吐いたり、髪の毛をつかんだりするなど虐待を行ったとして、介護保険法に基づいて6か月間、新規入居者の受け入れ停止と介護報酬2割カット処分にした。虐待は2年前からあったという。―以下略―」
私は、髪の毛をつかむというようなことはともかく、あってはならない介護職員の入居者に対する暴言は老人介護施設では潜在的に結構あると思っていますし、現実的に見てきました。あの尼崎市の喜楽苑でも私が介護職員として働き出した1988年の頃、言葉の乱れを正すために「言い直し運動」なるものを展開したものです。認知症老人に対してきつい叱責の言葉や命令、指示の言葉は何ら効果のあるものではありません。また、若い職員が祖父母ほど年齢の離れた老人に説得しても効果を得られるとはとても考えられるものではないのです。
1994年頃、生活リハビリで全国的に講演活動している三好何某が、自ら主宰する雑誌に
「老いの問題を社会問題化したがるマスコミに受けが良いから深刻な告発型の物ばかりが本屋にあふれることになる。現場の人達からもこうした本がいくつか書かれている。私はそれらの本の著者を『倫理派』と呼んでいる。特にこの人達はコトバにこだわる。敬語をつかえ、などとおっしゃるのだ。でもね、私の経験では、人というものは、敬語やていねい語を使いながら心の底から相手を認めていないという関わりもできるし、逆にこのクソババが困らせやがって、なんて乱暴なことをいいながら愛着いっぱいのケアをすることもあるのである」
と書いた頃から特に老人介護施設職員の言葉の乱れが一層ひどくなったように感じています。
老人介護施設で暮らす入居者も、地域社会で在宅生活を過ごす高齢者も同じ「人生の大先輩」という位置づけが出来ない限り、言葉遣いの乱れは正せないと、私は思うのです。
先輩に対しては敬語で依頼形の会話が常識なのです。老人介護施設職員にとって要介護老人に「愛着いっぱい、真心を込めて」なんては当たり前のことなのです。当たり前のことをしていたら老人介護に携わる職員は、社会の常識はどうでもいいという三好何某に改めて怒りを感じるのです。

高井流 ユニットケア談義 シリーズ16

2012-10-23
一口メモ・ユニットケア談義  シリーズ16
 
「介護の質とは・・・」
 私は「介護の質」は「職員の質」と考えています。介護の質は「目に見える形のあるもの」と「形の残らない目に見えるもの」に表れます。
「形の残る目に見えるもの」は居室やリビング(食堂など)のしつらえに表れるのです。新設の施設が2年目位経過しますと、そのことが如実に目に見えます。開設(新設)当時のそのままのしつらえ状態で使用している特養やデイサービスの場合、介護の質は全く前進していないと私は思います。
 例えば全室個室のユニット型特養であっても個室の居室内に仏壇や冷蔵庫などの家具や電化製品の持込がされ、「その人らしい暮らし」「その人らしい生活」が感じられる工夫がされているか、否かです。開設当時のままの状態、備え付けの床頭台とベッド、箪笥だけの居室で何処の居室も同じ、というような新型特養の職員の質は高くはないのです。
もっとも「色々なものを持ち込ませるな」というようなことを声高に職員に叫んでいる施設管理者の下ではユニットケアの進化などは望むべくもありませんし、職員の質の向上、介護の質の向上などはあるわけは無いのです。
 
「形の残らない目に見えるもの」
「形の残らない目に見えるもの」とは、要介護老人に対する取り組みです。日課だけ見ても分かります。日課は目に見えますが、形には残りません。例えば起床時間が自由であるか、朝食時、車椅子で眠っている入居者がいないか、どうかです。週二回の入浴回数が最高基準になっていないか、否かです。夜間入浴が取り組まれているか、否かです。買い物外出や外食、一泊旅行が希望に応じて取り組まれているか、否か、です。これらが介護の質、職員の質、施設の質の差と考えるのです。
それでは管理者の質の向上と、職員の質の向上はどうすれば叶うのでしょうか。それは管理者も職員も学ぶことです。ユニットケアは要介護老人の「その人らしい生活の復活」とするなら、そのために学ぶのです。個別ケアの実現と追及のための学びをするのです。
尚、「形も残らず、目にも見えない介護の質」があります。それは言葉づかいです。このことについては別に述べたいと思います。
 
「学びの基本は独習!」
介護職員の学ぶ目的は、対象者の生活の質の向上を図るためであり、個別ケアの実現のために学ぶのです。管理者は効率の良い、利益率の高い介護を追及するために、必死になって学ぶ管理者は多いのです。そんな管理者に評価され、介護職員は給料をあげるために働くのですが、施設で暮らす入居者・施設を利用する利用者の生活の質を引き上げるための学習には、真剣に取り組みながら働くという職員は決して多くはいないと感じています。 
佛教大学の永和良之助教授は「学習をしない職員は利用者に有害な存在になる」と指摘されまた、「生涯学習を続けるのは介護を職業として選んだ者の職業倫理」と諭されています。私は学習の基本は「独習」と思っています。そして独習の基本は「読むこと」と考えるのです。他にも聴く学習、見る学習、書く、語る学習があります。そして学んだことは現場で実践することです。そして行き詰ればまた学習…、このことの繰り返しでユニットケアは進化していくのだと思うのです。

高井流 ユニットケア談義 シリーズ15

2012-10-22
一口メモ・ユニットケア談義  シリーズ15
 
「管理職の役割とは?」
私は働き甲斐のある職場の第一の条件は「職員が個々の入居者の個別ケアの取り組み、入居者の満足を得られ、職員にとってはそのことで自己実現が出来ることにある」と思うのです。そしてそれだけでなく、管理職や上司がしっかりとそのことを評価をしてくれる職場であるか」、「否か」を上げます。
最近は「職員を評価する」というと、直ぐに人事考課を考える風潮があります。営利目的の経営コンサルト会社が福祉施設管理者を対象に高額な受講料を取り、人事考課導入のためのセミナーまで開催されているのが最近の現状です。
入居者の個別ケアの取り組みや家庭的な環境づくりに頑張っている職員が、正当に評価されるのは当たり前として「楽したい症候群に侵されている職員をどうするのか」、「昨日の続きが今日」というような職員をどのように教育をしていくのか、指導するのか、ということが管理職の責任と思うのです。。
人事考課で賃金や期末勤勉手当で差をつけ、「楽したい症候群」に侵された職員を、さらに追い込み、やる気をますます喪失させるような人事考課の導入で、自己満足している管理職の下では要介護の施設入居者にとっては大きな迷惑な話です。そういう意味では人事考課は管理職の立場にいる者に対して職員から「職員教育が出来るのか」という1点でもされるべきではないでしょうか。
そして人事考課を行うなら、評価している点や、個々の職員に具体的な克服すべき課題を明示し、やる気を喚起することが大切と思うのです。

高井流 ユニットケア談義 シリーズ14 

2012-10-20
一口メモ・ユニットケア談義  シリーズ14
 
「ユニットケアは進化も退化も・・・」
ユニットケアは「進化」も「退化」もします。実際のところ、私は介護保険が始まった2000年4月から7年間、滋賀県の多床室の既存型特養3施設で働きました。その後、福井市内で2006年に開設したユニット型特養で4年間働き、2011年4月から今年の3月末まで尼崎市で20年前に学んだ「喜楽苑」で1年間働きました。喜楽苑の法人では4度も入職したことになります。
通算特養では30年以上の仕事人生を経て、今年の4月から「ぽぷら」と地域密着型小規模特養の「なみき」の法人で働いて半年が過ぎました。いずれの施設でも介護現場の職員がユニットケアを導入し、それなりに意欲的に職員が頑張った施設だと思います。
しかし、私が過去に働いて来た施設の今の現状を見ますと、ユニットケアは「個別ケアの追求と展開」ということを本当に理解し、、ユニットケアを牽引する「介護現場のリーダーの存在」と「支える管理職の存在」の両輪が揃わないと直ぐに「退化する」、ことを証明していると感じています。
 
「滋賀のある特養でのユニットケアの退化現象」
特に印象に残っているのは、滋賀で6年前まで3年あまり働いたN園です。この施設はユニットケアを導入するまでは、施設実習に来る介護専門学校生や短大生から、要介護老人の「収容施設」「典型的な職員のための特養、職員本位の施設」と不評を買っていた特養でした。
しかし、ユニットケアを理解し、職員教育や指導できる現場のリーダーが着任して、ユニットケアを支える管理者がいると、直ぐに入居者の個別ケアはどんどん発展していきました。デイサービスもショートステイと利用者が重複することから統合し、介護保険外の「日帰り旅行」など、利用者の希望に基づいて取り組んだり、意欲的なデイサービスが展開しました。
しかし、入居者の生活を豊かにしていくことよりも、自分の役職を守ることに必死になり、自己都合ばかりを優先し、私に云わせると「楽したい症候群」に侵された職員がチームリーダーになり、施設長が行政上がりで「事なかれ主義」というような人物が居座ってしまうと直ぐに「退化」は始まり、外出の機会は極端に減ったと云います。
具体的には外食外出、買い物外出や一泊旅行などの外出の取り組みは減り、毎日でも希望すれば入浴が出来た「希望浴」は週2回の最低基準が最高基準になり、様々な職員側の理由づけがされて、簡単に私が退職後、「夜間浴も消えた」と聞かされました。
2000年に介護保険が導入された年に最初に滋賀で着任した特養も一泊旅行も直ぐに無くなり、毎週出かけた買い物外出は家族によるものだけになってしまったと聞かされました。
併設デイサービスとショート「統合化」も職員の都合を優先させた、「責任所在が明確化できない」などの理由を挙げ、廃止になったとのことですが、このようにリーダーの質の後退と、支える管理者が居なくなれば、入居者の生活に即反映し、必ず起こる退化現象と私は考えています。
 
「入居者の生活の質は現場職員のリーダーの質」
ユニットケアは「個別ケアの追求と具現化」を「身体介助の個別化」と誤った捉え方をしている職員や、個別ケアの展開を出来ない理由を直ぐに「職員不足」「過酷労働」に求めたがる現場リーダーの下では「普通の特養」に退化するのは至極当然のことなのです。
要するに、特養や老健施設で暮らす自己主張の困難な「認知症老人の生活の質」は「職員とそれを支える管理者の存在」と言っても差し障りはないと私は考えています。

一口メモ・10月16日の新聞記事を読んで

2012-10-17
一口メモ・1016日の新聞記事から
1016日付け新聞朝刊に「特養入居者を職員虐待」「神戸市新規受け入れ半年停止」と云う見出しで次の記事が掲載されていました。
 
「神戸市は垂水区の特養で女性職員4人が入居者に暴言を吐いたり、髪の毛をつかんだりするなど虐待を行ったとして、介護保険法に基づいて6か月間、新規入居者の受け入れ停止と介護報酬2割カット処分にした。虐待は2年前からあったという。―以下略―」
 
インターネットでこの施設を検索してみますと、この施設は1998年に開設された定員80+ショートステイ25名の施設です。基本運営方針に次の三つが掲げられていました。
 
1.   高齢者の方々と家族が安心して利用できる信頼されるサービスを目指す。
2.   入居者の方々が主体的の生き甲斐野ある生活を支援します。
3.   介護が困難なケースに積極的に取り組み、専門性の高いケアを目指す。
さらに
 「本ホームでは、人間らしさを大切にし、希望を持ち、元気で充実した毎日を過ごせるように努めています。また、在宅で生活するお年寄りやその家族の方にも、在宅介護、各種福祉サービスに関する総合的、専門的な相談や受け付け、より地域に開かれた施設を目指します。」
 
とも書かれています。まったく「言葉の遊び」「文章の遊び」です。理念は最高の考えたであり追求することに意義があるのです。
こんな事件がこの特養で発生したのは基本運営方針なり、運営理念を管理者が常日頃全職員に徹底するように努めていなかったことが、要因の一つとしてあげられると思います。徹底するには私設長がことあるごとに語り、ユニットリーダーや主任、相談員が先ず「言葉にする」ことです。 
更にはこの施設では「高齢者虐待についての研修」が開設以来1度も開催されていませんでした。このことでは、高齢者虐待や拘束禁止についての認識が、職員にまったく徹底していなかったことも考えられます。
いずれにしても定員80名、ショート25名の施設ですから、介護職員は40名近くは配属されていたと思われますが、4名の職員の虐待行為がこの施設の代表者となってしまいました。しかし、4人の介護職員とは言えない対応を繰り返している職員を裁くために、神戸市に通報した職員がいたことが、この施設の再生、出発点になると私は思いたいです。施設管理者が通報した職員を大切にし、中心的役割を果たし、再出発される事を願いたいと思います。
そして、この記事を読んで強く思ったのは新採職員研修や「なみき」の内部研修会で話した絶対に認知症入居者にしてはならない介護職員の行為の「認知症対応の大原則」です。それは認知症老人に対して「怒らない」「叱らない」「無視しない」「馬鹿にしない」「試さない」「笑顔で対応」です。このことの徹底を図っていくことが、当施設、ぽぷらと並木のの基本運営理念の「自然な暮らしの継続」に繋がっていくことと思います。
 

社会福祉法人みのり
特別養護老人ホームぽぷら
〒525-0028

滋賀県草津市上笠1丁目1-22
TEL.077-563-0030
FAX.077-563-7900

特別養護老人ホーム
ショートステイ
ケアハウス

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地域密着型小規模

特別養護老人ホームなみき

〒525-0028

滋賀県草津市上笠1丁目1-16
TEL:077-563-6600
FAX:077-563-6602

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デイサービスセンター湯楽里

〒525-0028

草津市上笠1丁目9-11

TEL:077-567-2688

FAX:077-562-0412

草津市上笠居宅介護支援事業所

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松原地域包括支援センター

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